病気は大きくわけて、機能的病態、器質的病態、致死的病態に分けられます。
現代医学の得意とするところは、器質的病態のみです。ガン、心筋梗塞、脳梗塞、外傷などのように、病気の座がどこにあり、どの細胞に病理学的変化が起きたのかが明確な病気が器質的病態です。器質的病態には、それぞれの領域に専門医が多数います。
しかし、自律神経や免疫系などのホメオスタシスが歪んで起きる機能的病態について、現代医学は何もできません。医学部の教育で教えないからです。また、大学病院は器質的疾患の専門医ばかりで、機能的病態の専門医はたいへん少ないというのが、現状です。せいぜい、精神安定剤(抗不安剤)や抗うつ剤などで症状を和らげることくらいしかできません。
医師は、このように、現代医学的一般検査で説明できないとき、「様子を見よう」とか、「気のせい」と言います。
「様子を見よう」とは、そのうち、器質的病態に変化してくるだろう、そうしたら私にも診断できるという意味でしょう。器質的病態になってからでは遅すぎます。
「気のせい」とは、心因性ということです。心のせいにするときは、相当注意して言わねばなりません。身体と心とでは、治療方法が全く異なるからです。
病気は、「健康」⇒「機能的病態」⇒「器質的病態」⇒「致死的病態」⇒「死」という一連の連続性の中で進行していきます(サルトジェネシス(健康創成論)による)。
機能的病態が潜在しているにもかかわらず、それを医師が見いだせずに心の病気(精神科的疾患)にしてしまうことをフランクル博士は、「身体因性偽神経症」(pseudoneurosis)と言い、戒めました。これは言わば、医師の誤診です。
世の中には、こうした誤診のために苦しんでいる患者さんがあふれています。
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